捻挫
捻挫とは、外力により骨と骨を繋ぐ関節周囲の靭帯や関節包、軟部組織を損傷することです。
外力により、関節が正常な範囲(可動域)を超えそうになったり、超えてしまった時に関節の周りに付いている靭帯が伸びてしまったり、切れてしまう事をいいます。
足首に限らず肘・肩・膝・手首・指など骨と骨を繋いでいる関節に起こるので、足の靭帯を痛めると足関節捻挫、膝の靭帯を痛めると膝関節捻挫となります。
靭帯は一度伸びてしまうと元の長さには戻りません。その為、捻挫を繰り返すたびに靭帯が伸びてしまい関節が緩くなってしまいます。
また、伸びきって靭帯が切れてしまう事もあります。捻挫がクセになるというのはこのためです。
症状や発生機序
症状
1度:(軽傷):痛みや腫れが少なく、不安定性はない。靭帯の微小損傷。
2度:(中等度):不安定性がみられる。(グラグラする)靭帯の部分断裂。
3度:(重症):腫れ・痛みが強く、関節の不安定性が顕著にみられる。(グラグラしていて安定感がない)靭帯の完全断裂。
どんな人に起こりやすい?
・関節弛緩の方
生まれつき関節が緩い方は靭帯も伸びやすい状態にあるので、捻挫しやすいです。
どのように起こる?
スポーツの際にはプレー中に起こったり、
日常生活動作のなかでは階段を踏み外したりなど、いつでも起こりうる怪我です。
ここでは、スポーツや日常生活で起こりやすい捻挫をご紹介します。
〈足関節捻挫〉
足関節周りには、たくさん靭帯が付いています。(前距腓靭帯・後距腓靭帯・踵腓靭帯・二分靭帯・前脛腓靭帯など)
・ジャンプした際着地に失敗した
・階段を踏み外した時
・足が挟まった状態で転倒した時
などで足を捻ってしまった際に起こりやすいです。
足関節は骨の形状から、内側に捻りやすい構造をしています。その為1番捻挫しやすい関節です。
〈膝関節捻挫〉
膝には関節の中と横に全部で4つの靭帯が付いています。(前十字靭帯・後十字靭帯・内側側副靱帯・外側側副靱帯)
・バスケやサッカーで切り返し動作をした際
・柔道で技をかけようとした時
・転倒して膝が内側に入ってしまった時
など膝を捻ってしまった時に起こりやすいです。
前十字靭帯を損傷した場合は、半月板も一緒に損傷することが多いです。
また、完全に切れてしまった時には手術適応になります。
〈肘関節捻挫〉
肘関節には、内側・外側それぞれ靭帯が付いています。
・手を突いて転倒した時
・腕に無理な力が加わった時
など肘が外側にそらされたり、内側にそらされたときに起こりやすいです。
〈突き指〉
突き指は、指の関節の捻挫です。
靭帯が伸びてしまったり切れてしまっている状態なので、引っ張ったりしてはいけません。
また、捻挫と一緒に骨折を起こしやすい所なので注意が必要です。
骨折と合併
靭帯は骨と骨を繋ぐように付いているため、強い力で靭帯が伸ばされた時に、骨を引っ張ってしまう事があります。
その際、裂離骨折(靭帯の引っ張りによって骨が剥がされてしまう)が起きる事があります。捻っただけと思っていても、骨折を合併している事があるため注意が必要です。
応急処置と予防
応急処置【POLICE(ポリス処置)】
最近はRICEの代わりにPOLICEといわれるようになってきました。
Protection(保護)
ケガをしたところを動かさずに、安静にします。
O.L: Optimal Loading(過度な負荷)
I: Ice(冷やす)
C: Compression(圧迫)
E: Elevation(挙上)
過度な負荷とは、例えば足関節捻挫ではアイシングをしながら少し動かします。
そうする事で関節の可動域の改善が早まると言われています。
受傷初期に正しい処置をする事により、治癒も早まり早期復帰も期待できます。
再発防止
捻挫したところは、靭帯が伸びてしまったor切れてしまった状態になります。
怪我する前と比べると、関節が緩くなり再び同じところを捻挫してしまう可能性が高まります。
靭帯は伸びてしまうと、元の長さには戻らないため、緩くなってしまった関節を補うために筋力トレーニングを行う必要があります。
捻挫後 スポーツ復帰・社会復帰が早くできるように筋力トレーニングなど私たちがお教えいたします。